「生きてるだけでえらい」って言うけど

実際は、ただ生きているだけの状態を許してもらえることって少ないよなと思う。

昨日、娘をお風呂に入れているとき、唐突に娘が「お母さんに向いている仕事って何だろうね?」と呟いた。娘の意図としては「お母さんは働いているのが普通のはずだが、現在のお母さんは働いていない。じゃあ、お母さんにはどんな仕事が向いているのかな?どんな仕事ならお母さんは働けるの?」という感じだろう。娘なりに、無職というイレギュラーな状態にいる私を気にかけてくれているようだった。

現在、私は専業主婦であり、家事全般をして、子供の世話をしているけれど、娘からしたら「仕事をしていない」状態なのだった。確かに、私はお金を稼いでいないし、私と同じような状況でプラス働きに出ている人も大勢いる。だから、お母さんは仕事をしていない、と思われても仕方ないのかもしれない。でも、家事と育児はノーカンかぁ、と思ったら、なんだかちょっと悲しくなった。

やはり、お金を稼がないと、一人前の大人の通常の状態として、娘にすら認めてもらえないのだ。

最近、娘は少しずつ、働きに出ていない私(母親)に対して「なんで働かないんだろう?」と疑問を持ち始めている。娘が宿題を面倒くさがっているときなど、ときどき「お母さんはいいなぁ、学校も無いし仕事も無いし、家にずーっといられて!」と聞こえよがしに言われる。私はとっさに「お母さんだって、家事とかしてるし……」と反論するけれど、どうしても声は小さくなる。そして私も心の中で「そうだよねぇ。当然の感想だよな」と思う。「でもお母さん、仕事ができなすぎて、働いたら邪魔者になっちゃうんだよ」なんて言う訳にもいかず。

先日、子供達の希望で、家族でトンカツを食べに行った。

息子は大きなエビフライが入ったミックスフライを注文したいと言ったけれど、さすがに園児にそれは食べきれないだろうと、小さめエビフライ付きのお子様ランチにしてもらった。小学生の娘はちょっと豪華な定食を「今日は一人で全部食べきれそうな気がする」なんて張り切っていた。(ちなみに、娘が残した分は大食いの夫が食べる。)

私はと言えば、無邪気にあれこれ選ぶ子供達の脇で、一番安い定食を無意識に探していた。

別に我が家が困窮しているから安い物を頼もうとしている訳ではない。夫がしっかり働いてくれているので、トンカツを食べたくらいでは家計はびくともしない。誰かにお前は安い物を頼め、と言われた訳じゃないのに、私が勝手に卑屈になって安い物を探しているのだ。

だって私、無職だし。

無職のくせにトンカツって、やっぱり図々しいかなって。

誰にも何も言われていないのに、勝手に自分に罰を与えて、それで許してもらおうとしている。でも誰に許してもらおうとしているんだろう私は。家族の誰も、私が安い定食を頼んだことなんて気にしていないのに。

いつか私も、無邪気にミックスフライを頼めるようになるんだろうか。

その時私は、仕事をしているんだろうか。「生きているだけでえらい」のならば、……。

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